大雑把に言えば、太陽系は自分の家やアパート、銀河系はたくさんの家やビルからなる自分の町と考えればよいでしょう。20世紀になって、天文学者たちは、私たちの世界がたくさんの町で構成されているように、宇宙も膨大な数の銀河で構成されていることを明らかにしました。(ここでは宇宙を、私たちが観測できる範囲に存在するあらゆるものと定義しています)。 銀河は、私たちの望遠鏡が見渡せる限りの宇宙に広がっており、そのうちの何十億もの銀河が現代の機器の届く範囲にあります。銀河が発見された当初、一部の天文学者は銀河を島宇宙と呼んでいましたが、まさにその通りで、銀河は広大で暗い宇宙の海に浮かぶ星々の島のように見えます。
1993年に発見された最も近い銀河は、太陽から7万光年離れたいて座の方向にある小さな銀河で、我々の銀河系では星間物質の影響で特に判別が困難です(星座は、天文学者が天空を88に分割したうちの1つで、それぞれの名前はその中の目立つ恒星のパターンに由来しています)。 このいて座矮小銀河の向こうには、約16万光年の距離にある2つの小さな銀河があります。これはマゼランの乗組員が世界一周の航海中に初めて記録したもので、マゼラン雲(マゼラン銀河)と呼ばれています(図1.12)。これら3つの小さな銀河は、いずれも天の川銀河の衛星銀河であり、天の川銀河と重力の力で相互に影響し合っています。最終的には、他の小さな銀河が宇宙の時間の流れの中でそうであったように、この3つの小さな銀河も、はるかに大きな銀河に飲み込まれるかもしれません。
最も近くにある大きな銀河は、アンドロメダ座にある我々の銀河とよく似た渦巻き型の銀河で、アンドロメダ銀河と呼ばれています。これは、カタログ番号の一つであるM31でも知られています。M31は、200万光年強の距離にあり、天の川銀河とともに、局所(局部)銀河群と呼ばれる50以上の銀河からなる小さな銀河団に属しています。
1,000万光年から1,500万光年の距離には、他の小さな銀河群があり、5,000万光年程度の距離には、数千個の銀河が集まった、より印象的な系があります。このように、銀河がほとんどの場合、大小の銀河団で発生していることがわかりました(図1.14)。
銀河団自体が超銀河団と呼ばれる大きなグループを形成しているものもあります。局所銀河群は、直径1億1000万光年に及ぶ「おとめ座超銀河団」と呼ばれる超銀河団の一部です。このような巨大なスケールでの宇宙構造の解明は、まだ始まったばかりですが、すでに思いがけない発見があります。
普通の銀河では薄暗くて見えないようなもっと遠くに、クェーサー(準星)があります。クェーサーとは、銀河の中心部にある、非常に大きなエネルギーを持った光の集まりです。クエーサーの巨大なエネルギーは、巨大なブラックホールに向かって落ちてくるガスが数百万度の温度に加熱され、その周りを渦巻くことによって生み出されます。クェーサーの輝きは、私たちが暗い宇宙の海の中で見ることのできる最も遠い道しるべです。クェーサーのおかげで、私たちは100億光年以上先の宇宙、つまり100億年以上前の宇宙を探ることができるのです。
クェーサーがあることで、私たちは時間の始まりであるビッグバンの爆発の近くまでさかのぼることができます。クェーサーや最も遠くに見える銀河の向こうには、宇宙を満たしている爆発そのものの微弱な光が検出されており、宇宙のあらゆる方向から私たちに迫ってきています。この「創造の残光」の発見は、20世紀の科学における最も重要な出来事の1つとされており、天文学者は宇宙の初期について教えてくれる多くのことを今も探求しています。
銀河やクェーサーの性質を測定するには、大型の望遠鏡と高性能の光増幅器、そして大変な労力が必要です。晴れた夜には、世界中の天文台で、天文学者や学生たちが、新しい星の誕生や宇宙の大規模な構造などの謎に挑み、その成果を私たちの理解に結びつけています。
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