章の概要
6.1 エネルギーとメタボリズム
6.2 位置エネルギー、運動エネルギー、自由エネルギー、活性化エネルギー
6.3 熱力学の法則
6.4 ATP: アデノシン三リン酸
6.5 酵素
生物が行うほとんど全ての作業にはエネルギーが必要です。重労働や運動にもエネルギーが必要ですが、人間は考え事をしたり、寝ている間にもかなりのエネルギーを使います。生物の細胞は常にエネルギーを使っています。
生物は栄養分や他の分子を取り込みます。代謝(分解)し、場合によっては合成して新しい分子を作ります。必要に応じて、分子は変化し、細胞内を移動し、生物全体に分布することもあります。例えば、筋肉を構成する大きなタンパク質は、小さな分子から積極的に作られます。複雑な炭水化物は、細胞がエネルギーとして使用する単糖に分解されます。建物を建てるのにも壊すのにもエネルギーが必要なように、分子の合成にも分解にもエネルギーが必要なのです。また、ホルモンや神経伝達物質などのシグナル分子は、細胞間を移動します。
細胞は、バクテリアやウイルスを摂取し、分解します。また、健康を維持するためには、老廃物や毒素を排出しなければなりません。多くの細胞は、繊毛や鞭毛などの細胞付属物の拍動運動によって、周囲の物質を移動させたり、泳いだりしなければなりません。
以上のような細胞のプロセスには、安定したエネルギーの供給が必要です。では、そのエネルギーはどこから、どのような形で供給されるのでしょうか?細胞はどのようにしてエネルギーを得て、それをどのように使うのでしょうか?本章では、さまざまなエネルギーの形態と、エネルギーの伝達を支配する物理法則について説明します。また、細胞がどのようにしてエネルギーを使い、補充しているのか、細胞内の化学反応がどのようにして高効率で行われているのかについても説明します。
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