章の概要
34.1 消化器系
34.2 栄養とエネルギー生産
34.3 消化器系プロセス
34.4 消化器系調節機構
すべての生物は、生きていくために栄養素を必要とします。植物は光合成の過程で細胞機能に必要な分子を得ることができますが、ほとんどの動物は他の生物を摂取することで栄養分を得ています。細胞レベルでは、動物の機能に必要な生体分子は、アミノ酸、脂質、ヌクレオチド、単糖類です。しかし、消費される食物は、タンパク質、脂質、複合糖質から構成されています。動物は、これらの高分子を、細胞機能（新しい分子・細胞・組織を組み立てるなど）を維持するのに必要な単純な分子に変換する必要があります。摂取した食物を必要な栄養素に変換するには、消化と吸収を含む多段階のプロセスが必要です。消化の過程で、食物の粒子はより小さな成分に分解され、その後、体内に吸収されます。
ヒトの栄養における課題の1つは、食物の摂取、貯蔵、エネルギー消費のバランスを維持することです。バランスが悪いと、健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。例えば、エネルギーをあまり消費しないのに食べ物を食べ過ぎると、肥満になり、2型糖尿病や心血管疾患などの病気の発症リスクが高まります。近年、肥満やそれに関連する疾病が増加していることから、健康維持における食事と栄養の役割を理解することは、より一層重要であると考えられます。
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