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1.3 現代の心理学

01 心理学への誘い

感覚と知覚

感覚器の生理学的な側面と、感覚情報の心理的な経験の両方に興味を持つ科学者は、感覚と知覚の分野で研究を行っています(図1.11)。このように、感覚と知覚の研究は、非常に学際的です。あるクラスから別のクラスに移動するときに、ビルの間を歩くことを想像してみてください。あなたに、景色、音、触覚、そして匂いといったものが押し寄せてきます。また、あなたは、周りの空気の温度を感じたり、バランスを取りながら歩いたりします。これらはすべて、感覚と知覚の領域で働く人にとって関心のある要素です。

図1.11 この画像は、アヒルに見えるかもしれないし、ウサギに見えるかもしれない。感覚的な情報は同じでも、知覚は大きく変わる。

感覚と知覚の研究結果に焦点を当てた後の章で説明するように、私たちが世界を経験するということは、すべての感覚情報(または感覚)の合計を合わせたような単純なものではありません。むしろ、私たちの経験(あるいは知覚)は複雑であり、どこに注意を向けるか、過去の経験、さらには文化的背景にも影響されます。

認知心理学

前節で述べたように、認知革命により、心理学者は行動の背景にある心、そして心的過程をよりよく理解することに関心を向けるようになりました。認知心理学cognitive psychologyは、認知(思考)と経験・行動の関係を研究する学問です。生物心理学と同様に、認知心理学もその領域は広く、さまざまな分野の人々が協力して研究を進めています。したがって、この分野の研究の学際性を表現するために、認知科学cognitive scienceという言葉が生まれました(Miller, 2003)。

認知心理学者の研究対象は、注意、問題解決、言語、記憶など、多岐にわたっています。また、これらのテーマを研究する際に使用されるアプローチも同じく多様です。こうした多様性のため、認知心理学は、このテキストの1つの章に収まるものではありません。感覚と知覚、思考と知能、記憶、生涯発達、社会心理学、セラピーなどの章で、認知心理学に関連するさまざまな概念を取り上げます。

発達心理学

発達心理学developmental psychologyは、生涯にわたる発達を科学的に研究する学問です。発達心理学者は、身体的な成熟に関連するプロセスに関心があります。しかし、その対象は加齢に伴う身体的な変化だけではなく、認知能力、道徳的理性、社会的行動、その他の心理的属性の変化にも注目しています。

初期の発達心理学者は、主に大人になるまでの変化に着目し、幼い子どもと大人の間に存在する身体的、認知的、社会的能力の違いについて多大な示唆を与えてくれました。例えば、Jean Piagetジャン・ピアジェの研究(図1.12)では、非常に幼い子どもは物体の永続性を示さないことが明らかになりました。ものの永続性とは、物体はたとえ目に見えなくても存在し続けるという理解のことです。大人におもちゃを見せた後、カーテンの後ろに隠したとしても、大人はそのおもちゃがまだ存在するということを知っています。しかし、幼い赤ちゃんは、隠したものが存在しないかのように行動します。ものの永続性が達成される年齢については、若干の議論があります(Munakata, McClelland, Johnson, and Siegler, 1997)。

図 1.12 ジャン・ピアジェは、乳幼児期から大人になるまでに起こる認知能力の変化に関する理論で有名である。

Piagetは、乳幼児期から成人期にかけての認知能力の変化に着目していましたが、最近では、もっと後の時期に起こる変化についても研究が進められています。これは、先進国全体の人口動態の変化を反映しているのかもしれません。長生きする人が増えれば増えるほど、高齢者の数も増えていきます。実際、2010年の米国では、65歳以上の高齢者が4,000万人強いると推定されています。しかし、2020年には、この数は約5,500万人に増加すると予想されています。そして2050年には、9,000万人近くが65歳以上の高齢者になると推定されています(Department of Health and Human Services, n.d.)。

補足:日本での高齢者人口

65歳以上の高齢者人口は、2020年現在3617万人であり、過去最多となりました。総人口に占める割合も28.7%と、前年(28.4%)に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高かつ世界最高となっています(統計からみた我が国の高齢者 – 総務省統計局より)。

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