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10.1 動機づけ

10 感情と動機づけ

マズローの欲求階層

先に述べた動機づけの理論は、基本的な生物学的衝動、個人の特性、あるいは社会的文脈に関するものですが、Abraham Maslowアブラハム・マズロー (Maslow,1943)は、生物学的なものから個人的なもの、そして社会的なものに至るまでの動機のスペクトラムをカバーする欲求階層hierarchy of needsを提唱しました。これらの欲求は、しばしばピラミッド型に描かれます(図10.8)。

図10.8 Maslowの欲求階層を図示したもの。いくつかのバージョンでは、尊厳と自己実現の間に、認知的欲求と美的欲求も含まれている。また、自己超越のために最上部に別の階層を設けているものもある。

ピラミッドの底辺には、生存のために必要な生理的欲求があります。続いて、安心・安全への基本的欲求、愛されたい・所属したいという欲求、自己価値や自信を持ちたいという欲求があります。ピラミッドの最上位は自己実現で、これは本質的に自分の可能性を最大限に発揮することと同等の欲求であり、ピラミッドの下位の欲求が満たされて初めて実現されるものです。Maslowや人間性心理学の立場をとる理論家にとって、自己実現とは、人間性の肯定的な側面を強調するヒューマニズム的な考え方を反映しています。Maslowは、これは継続的で生涯にわたるプロセスであり、実際に自己実現状態を達成する人はごく一部であることを示唆しました(Francis & Kritsonis, 2006; Maslow, 1943)。

Maslow(1943) によると、人はピラミッドの上位に位置する欲求に取り組む前に、下位の欲求を満たさなければなりません。例えば、必要な栄養を摂るために十分な食料を手に入れるのに苦労している人が、他人が自分を良い人だと見ているかどうかを考えるのに膨大な時間を費やすことはまずありません。むしろ、食べるものを探すことに全力を傾けるはずです。

しかし、Maslowの理論は主観的であり、現実世界で起こる現象を説明できないと批判されています(Leonard, 1982)。また、最近では、Maslowが人生の後半に、自己実現の上に自己超越の段階(自分の関心事を超えた意味と目的のために努力することを表す)を提唱していることを取り上げた研究もあります(Koltko-Rivera, 2006)。例えば、政治的な主張をしたり、他人の状況を改善するために自己犠牲を払うことがあります。非暴力による独立を唱えた世界的に有名なMohandas K. Gandhiモーハンダース・K・ガーンディー(マハトマ・ガンディー)は、特定の状況に抗議するために何度かハンガーストライキを行ったことがあります。人は、自分の欲求を超えた高次の動機によって、自らを飢えさせたり、危険にさらしたりすることがあるのです。

図10.3 (credit: Agustín Ruiz)

図10.4 (credit b: modification of work by “Mothering Touch”/Flickr)

図10.5 (credit “left”: modification of work by “Gracie and Viv”/Flickr; credit “center”: modification of work by Steven Depolo; credit “right”: modification of work by Monica Renata)

Access free at https://openstax.org/books/psychology-2e/pages/10-1-motivation

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