相関関係は因果関係を示すものではない
相関研究は、2つの変数の間に存在する関係の強さと方向性を発見できるので便利です。しかし、関係の存在を確認しても、原因と結果についてはほとんどわからないため、相関には限界があります。
一方が他方を引き起こしているために変数が相関している場合もありますが、他の要因、つまり交絡変数(剰余変数)が実際に対象となる変数の規則的な動きを引き起こしている可能性もあります。先ほどのアイスクリームと犯罪率の例では、温度が交絡変数となり、2つの変数の関係を説明することができます。
明確な交絡変数が特定できない場合でも、2つの変数の間に相関があるからといって、ある変数が他の変数の変化を引き起こすと考えるべきではありません。因果関係がはっきりしていて直感的に理解できる場合は、この点に不満を感じるかもしれません。米国がん協会の研究を思い出してください。彼らの研究プロジェクトは、喫煙とがんの関連性を最初に実証したものでした。喫煙ががんを引き起こすと仮定するのは合理的なように思えますが、相関研究に限って言えば、このような仮定をするのは限度を超えているでしょう。
残念ながら、相関関係の関数としての因果関係を誤って主張する人は常にいます。このような主張は、特に広告やニュース記事でよく見られます。例えば、最近の研究では、シリアルを日常的に食べている人は、ほとんど食べない人よりも健康的な体重を達成していることがわかりました(Frantzen, Treviño, Echon, Garcia-Dominic, & DiMarco, 2013; Barton et al. )
シリアルメーカーはこの結果をどのように報告しているのか考えてみてください。シリアルを食べると、本当に健康的な体重を維持できるのでしょうか?それとも、健康的な体重の人は、肥満の人やダイエットのために食事を避けている人よりも、健康的な朝食を定期的に食べる可能性が高いなど、他の説明が可能なのでしょうか(図2.13)。
相関研究は、変数間の関係を明らかにする上では非常に有効ですが、因果関係を立証できないという大きな限界があります。心理学者は、因果関係を明らかにしたいと考えていますが、そのためには、研究課題に答えるために実験を行うしかありません。次のセクションでは、科学的な実験には、代替説明を排除したり制御したりする方法が組み込まれており、ある変数の変化が別の変数の変化をどのように引き起こすかを調べることができる、ということを説明します。