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3.3 神経系

03 生物心理学

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学習目標

  • 中枢神経系と末梢神経系の違いを説明することができる
  • 体性神経系と自律神経系の違いを説明することができる
  • 自律神経系の交感神経と副交感神経の違いを説明できる

神経系は、図 3.13 に示すように、中枢神経系central nervous system (CNS) 末梢神経系 peripheral nervous system(PNS) の 2 つに大きく分類されます。CNSは、脳と脊髄で構成されており、PNSは、CNSと体の他の部分を繋いでいます。ここでは、末梢神経系を中心に説明し、後に脳と脊髄を説明します。

図3.13 神経系は大きく2つの部分に分かれている。(a) 中枢神経系と (b) 末梢神経系である。

末梢神経系

末梢神経系は、神経と呼ばれる太い軸索の束で構成されており、CNSと体の周辺部(CNS以外のすべての場所)の筋肉、器官、感覚との間で信号をやり取りします。体性神経系と自律神経系の2つの主要な部分に分かれています。

体性神経系somatic nervous systemは、従来意識的または随意的なものと考えられてきた活動に関連しています。体性神経系は、中枢神経系との間の運動および感覚情報の伝達に関与しており、したがって、運動ニューロンと感覚ニューロンから構成されています。

運動ニューロンは、中枢神経系からの指示を筋肉に伝えるもので、遠心性線維です。それに対し感覚ニューロンは、感覚情報を中枢神経系に伝える求心性線維です。それぞれ遠心性(efferent) =出ていく (exit)、 求心性(afferent) =到来する (arrive)と覚えておくとよいでしょう。それぞれの神経は、基本的に、双方向の高速道路を形成するニューロンの束であり、遠心性と求心性両方の軸索を何千本も含んでいます。

自律神経系autonomic nervous systemは、私たちの内臓や腺を制御し、一般的には自発的な制御の領域外にあると考えられています。自律神経系はさらに、交感神経系と副交感神経系に分けられます(図3.14)。交感神経系sympathetic nervous systemは、ストレスに関連する活動のために身体を準備することに関与し、副交感神経系parasympathetic nervous systemは、身体を日常的な活動に戻すことに関連しています。この2つの神経系は相補的な機能を持ち、連動して身体のホメオスタシスを維持しています。ホメオスタシスHomeostasisとは、体温などの生体条件を最適なレベルに保たれている平衡状態、およびそうしようとする働きのことをいいます。

図3.14 自律神経系の交感神経と副交感神経は、さまざまなシステムに対して相反する作用を及ぼす。

交感神経系は、私たちがストレスを感じたり、興奮度の高い状況に直面したときに活性化します。この神経系の活動は、私たちの祖先にとって、生存率を高めるための適応的なものでした。例えば、小動物を狩っていた祖先が、子連れの大熊の邪魔をしてしまったとします。その時、交感神経の活性化によって彼の体は一連の変化を起こし、脅威に立ち向かう準備をします。瞳孔が開き、心拍数と血圧が上昇し、膀胱が緩み、肝臓からブドウ糖が放出され、アドレナリンが血中に放出されます。このような一連の生理的変化は闘争・逃走反応fight or flight responseと呼ばれ、体に蓄えられたエネルギーを利用したり、感覚を研ぎ澄ませたりすることで、脅威を撃退したり、安全な場所に逃げたりすることができます。

学習へのリンク

闘争・逃走・凍結反応についての動画(英語)を見て、さらに理解を深めてください。

このような反応は、身体的な脅威に満ちた世界に住んでいた私たちの祖先が生き延びるために重要であったことは明らかですが、現代社会で私たちが直面している覚醒度の高い状況の多くは、より心理的な性質を持っています。

例えば、大勢の人の前でプレゼンテーションをしなければならないときや、大きなテストを受ける直前の気持ちを考えてみてください。こうした状況では物理的な危険はないものの、人間は脅威を感じると闘争・逃走反応を起こすように進化してきました。現代社会では、この反応はほとんど適応しておらず、実際、戦うことも逃げることもできない心理的な脅威に常に直面していると、私たちの健康に悪影響を及ぼします。

最近の研究では、ストレスの多い状況に持続的かつ反復的にさらされることによる心臓病への罹患率の増加 (Chandola, Brunner, & Marmot, 2006) や免疫系の機能低下 (Glaser & Kiecolt-Glaser, 2005) などの多くの悪影響が示唆されています。このようなストレス反応性の傾向の一部は、幼少期のトラウマ体験によって引き起こされる可能性もあります。

脅威が解消されると、副交感神経系が優位になり、身体機能をリラックスした状態に戻します。心拍数と血圧は正常に戻り、瞳孔が収縮し、膀胱のコントロールが回復し、肝臓は将来の使用に備えてグルコースをグリコーゲンの形で貯蔵し始めます。これらの回復プロセスは、副交感神経系の活性化に関連しています。

Openstax,”Psychology 2e 3.3 Parts of the Nervous System System”.https://openstax.org/books/psychology-2e/pages/3-3-parts-of-the-nervous-system

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