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4.4 睡眠の問題と障害

04 意識

パラソムニア

睡眠障害の中でも、睡眠中の不要な運動や体験が原因となっているものをパラソムニアparasomnia(睡眠時随伴症)と呼びます。睡眠時のレム睡眠、ノンレム睡眠のいずれの段階でも発生する可能性があります。夢遊病、レストレスレッグス症候群、夜驚症は、いずれも睡眠時随伴症の一例です(Mahowald & Schenck, 2000)。

夢遊病

夢遊病sleepwalking(somnambulism)は、徘徊から自動車の運転まで、比較的複雑な行動をとる病気です。夢遊病の間、睡眠者は目を開けていることが多いですが、コミュニケーションを取ろうとしても反応しません。また、夢遊病は徐波睡眠中に多く発生しますが、一部の患者では睡眠中のどの時間帯でも発生することがあります(Mahowald & Schenck, 2000)。

歴史的に、夢遊病は、ベンゾジアゼピン系薬剤から抗うつ剤まで、様々な薬物療法で治療されてきました。しかし、このような治療法の成功率は疑問視されています。Guilleminaultら(2005)は、ベンゾジアゼピン系薬剤を使用しても夢遊病は緩和されないことを明らかにしました。しかし、彼らの研究対象となった睡眠時無呼吸症候群の患者のうち、睡眠時の呼吸問題を抱えていた患者は、呼吸問題を効果的に治療することで、夢遊病が著しく減少しました。

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原題の「Why We Sleep」が、日本のビジネス書特有の熱血的なタイトルになっている点以外はおすすめできる1冊。

夢遊病の弁護? 【深掘り】

1997年1月16日、Scott Falaterスコット・ファラターは妻と子供と一緒に夕食をとり、仕事のプロジェクトで困っていることを話した。夕食後、翌朝に教会のユースグループを指導するための資料を用意し、家のプールのポンプを修理してから就寝した。翌朝、彼は犬の鳴き声と階下からの聞き慣れない声で目を覚ました。何事かと思えば、警察官たちが妻殺しの容疑で彼を逮捕するというのだ(Cartwright, 2004; CNN, 1999)。

Yarmila Falaterヤルミラ・ファラターの遺体は一家のプールで44カ所の刺し傷付きで発見されました。隣人が、Falaterが妻の遺体の上に立ち、プールに引きずり込むのを目撃して警察に通報したのです。敷地内を捜索したところ、警察はFalaterの車のトランクから血のついた服と血のついたナイフを発見し、彼の首には血痕がついていました。

驚くべきことに、Falaterは妻を傷つけた覚えは一切ないと主張しました。彼の子供たちと妻の両親も、Falaterは妻と良好な関係を築いており、妻を殺害する動機となるような理由は思いつかないという点で一致していました(Cartwright, 2004)。

Scott Falaterは子供の頃、定期的に夢遊病を起こしていたことがあり、夢遊病中にパジャマ姿で家を出ようとした彼を阻止しようとした姉に暴力を振るったこともあったといいます。また、脳の異常や精神的な障害は見られませんでした。Scott Falaterは寝ている間に妻を殺したようでした。少なくとも、妻殺しの裁判で彼が使った弁明はそうでした(Cartwright, 2004; CNN, 1999)。Falaterの場合は、1999年6月に陪審員が第一級殺人で有罪としましたが(CNN, 1999)、夢遊病の弁護が成功した殺人事件はほかにもあるといいます。恐ろしく聞こえるかもしれませんが、多くの睡眠研究者は、以下のような種類の睡眠障害を患っている人には殺人的な夢遊病の可能性があると考えています(Broughton et al., 1994; Cartwright, 2004; Mahowald, Schenck, & Cramer Bornemann, 2005; Pressman, 2007)。

レム睡眠行動障害(RBD)

レム睡眠行動障害REM sleep behavior disorder(RBD)は、レム睡眠時に伴う筋肉の麻痺が起こらない場合に発生します。RBDに罹患している人は、レム睡眠中、特に不穏な夢を見ているときに、高いレベルの身体活動を行います。その行動は様々ですが、蹴ったり、殴ったり、引っかいたり、叫んだり、怯えたり、攻撃された動物のように振る舞ったりします。これらの行動は、自分自身やそばで寝ている人を傷つける可能性があります。さらに、これらの行動は最終的に睡眠を妨げることになりますが、患者はこれらの行動が起こったことを覚えていません(Arnulf, 2012)。

この睡眠障害は、パーキンソン病などの神経変性疾患との関連が指摘されています。実際、この関係は非常に強く、RBDの存在は多くの神経変性疾患の診断および治療に役立つ可能性があると考えられています(Ferini-Strambi, 2011)。RBDの治療には、鎮静作用のある抗不安薬であるクロナゼパムclonazepamが最もよく使われます。クロナゼパムは、単独またはメラトニン(松果体から分泌されるホルモン)と併用して投与されます。また、治療の一環として、RBD患者がより安全に過ごせるように睡眠環境を改善することもあります(Zangini, Calandra- Buonaura, Grimaldi, & Cortelli, 2011)。

その他のパラソムニア

レストレスレッグ症候群restless leg syndrome(むずむず脚症候群)の人は、体を動かしていない時や寝ようとしている時に、脚に不快感を覚えます。この不快感は、脚を意図的に動かすことで緩和されますが、当然のことながら、入眠や睡眠維持が困難になってしまいます。レストレスレッグ症候群は非常に一般的であり、慢性腎臓病や糖尿病など、他の多くの疾患と関連しています(Mahowald & Schenck, 2000)。レストレスレッグ症候群を治療する薬剤としては、ベンゾジアゼピン系薬剤、アヘン系薬剤、抗けいれん剤などがあります(Restless Legs Syndrome Foundation, n.d.)。

夜驚症night terrorは、患者にパニック感をもたらし、しばしば悲鳴や身近な環境から逃げ出そうとする行動を伴います(Mahowald & Schenck, 2000)。夜驚症の患者は、目が覚めているように見えますが、通常は起こった出来事の記憶がなく、慰めようとしても効果がありません。一般的に、夜驚症の患者は短時間で再び眠りにつきます。夜驚症は、明らかにノンレム睡眠時に発生します(Provini, Tinuper, Bisulli, & Lagaresi, 2011)。一般的に、夜驚症の治療は、夜驚症の原因となっている医学的または心理学的な基礎疾患がない限り、不要であると言われています(Mayo Clinic、n.d.)。

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