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5.1 「感覚」と「知覚」の違い

05 感覚と知覚

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学習目標

  • 感覚と知覚を区別する
  • 絶対閾値と差分閾値の概念を説明できる
  • 知覚における注意、モチベーション、感覚適応の役割を説明できる

感覚

何かを感じるということはどういうことでしょうか?感覚受容体は、特定の種類の刺激に反応する特殊なニューロンです。感覚情報が感覚受容体によって検出されると、感覚sensationが生じます。例えば、目に入った光は、目の奥に存在する細胞に化学変化を引き起こします。これらの細胞は、(生体心理学の章で学んだように)活動電位の形でメッセージを中枢神経系に伝えます。感覚刺激のエネルギーが活動電位に変換されることを変換transductionといいます。

人間には視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの感覚があることは小学生の頃から知っているでしょう。しかし、この五感という概念は、単純化されすぎていることがわかっています。五感の他にも、平衡感覚(前庭感覚)、体の位置や動き(固有感覚・運動感覚)、痛み(痛覚)、温度(温度感覚)などの情報を提供する感覚系があります。

刺激に対する感覚システムの感度は、絶対的な閾値として表すことができます。絶対閾absolute thresholdとは、その刺激が50%の確率で検出されるために必要な刺激エネルギーの最小量を意味します。これを別の方法で考えると、光がどれだけ暗いと、あるいは音がどれだけ小さいと半分の回数で検出されるか、ということになります。

私たちの感覚受容器の感度は驚くべきものです。晴れた夜には、目の奥にある最も感度の高い感覚細胞が、30マイル(約48㎞)先のろうそくの炎を感知できると言われています(Okawa & Sampath, 2007)。静かな環境下では、有毛細胞(内耳の受容細胞)は20フィート(約6m)先の時計の音を検知することができます(Galanter, 1962)。

また、私たちは、サブリミナルメッセージsubliminal messageと呼ばれる、意識的に認識できる閾値以下のメッセージを受け取ることもできます。ある刺激が生理的な閾値に達するのは、その刺激が感覚受容体を興奮させ、神経インパルスを脳に送るのに十分な強さであるときです。これが絶対的な閾値と呼ばれるものですが、この閾値以下のメッセージはサブリミナルと呼ばれ、私たちはそれを受け取っても、それを認識したと意識することはありません。

サブリミナルメッセージは、広告やロック、自己啓発のオーディオ・プログラムなどに使用されており、長年にわたって様々な憶測を呼んできました。研究では、実験室においては人は意識せずに情報を処理し、反応することができるという結果が出ています。しかし、だからといって、これらのメッセージにゾンビのように従うわけではありません。実際、隠されたメッセージは、実験室の外では行動にほとんど影響を与えません(Kunst-Wilson & Zajonc, 1980; Rensink, 2004; Nelson, 2008; Radel, Sarrazin, Legrain, & Gobancé, 2009; Loersch, Durso, & Petty, 2013)。

絶対閾は一般的に,非常に最適な、制御された条件で感度が測定されます。一方で,複数の刺激の違いを検出するためには,どの程度の違いが必要なのかということに関心がある場合もあります。これは丁度可知差異just noticeable difference(jnd)または識別閾difference thresholdとして知られています。

絶対閾とは異なり、識別閾は刺激の強さによって変化します。例えば、真っ暗な映画館の中を想像してみてください。もし、観客の一人がメールを受信して携帯電話の画面が光ったとしたら、多くの人が映画館の明るさの変化に気づくでしょう。しかし、同じことがバスケットボールの試合中の明るいアリーナで起こったとしたら、気づく人はほとんどいないでしょう。携帯電話の明るさは変わらないにもかかわらず、明るさの変化を認識できるかどうかが、2つの状況では大きく異なるのです。Ernst Weberエルンスト・ウェーバーが1830年代に提唱した識別閾の変化の理論は、「ウェーバーの法則(識別閾は、例で示したように元の刺激に対して一定の割合で変化する)」として知られるようになりました。

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