視覚/聴覚刺激は、どちらも波の形で発生します。この2つの刺激は構成が大きく異なりますが、波の形には、私たちの視覚と聴覚の知覚にとって特に重要となる類似の特性があります。ここでは、波の物理的特性と、それに伴う知覚体験について説明します。
振幅と波長
波の物理的特性には、振幅と波長があります(図5.5)。波の振幅とは、中心線から山の頂上または谷の底までの距離を意味します。波長とは、あるピークから次のピークまでの波の長さのことを指します。
波長は、その波形の周波数に直接関連しています。周波数とは、ある期間にある地点を通過する波の数のことで、多くの場合、ヘルツ(Hz)、つまり1秒あたりのサイクル数で表されます。周波数は、波長が長ければ低く、短ければ高くなります(図5.6)。
光の波
可視光は、電磁スペクトルの中で、私たちが見ることのできる部分です。図5.7に示すように、電磁スペクトルは、私たちの環境で発生するすべての電磁波を含み、ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線、マイクロ波、電波などがあります。人間の可視スペクトルは、380〜740nmの波長と結びついており、ナノメートル(nm)は10億分の1メートルを表すため、非常に小さな距離といえます。他の生物は、他の部分の電磁スペクトルを検出することができます。例えば、ミツバチは紫外線領域の光を見ることができ(Wakakuwa, Stavenga, & Arikawa, 2007)、ヘビの中には、従来の視覚的な光の手がかりに加えて、赤外線を感知するものもいます(Chen, Deng, Brauth, Ding, & Tang, 2012; Hartline, Kass, & Loop, 1978)。
人間の場合、光の波長は色の認識と関連しています(図5.8)。可視光の中では、赤は波長が長く、緑は中間で、青や紫は短い波長です。(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫というように、ROYGBIV(red, orange, yellow, green, blue, indigo, violet)というニーモニックで覚えるのが簡単です)。また、光波の振幅は、色の明るさや強さと関連しており、振幅が大きいほど明るく感じられます。