色と奥行きの認識
私たちは世界を白と黒で見ているのではなく、2次元(2-D)や平面(縦と横だけで奥行きがない)で見ているのでもありません。ここでは、色覚の仕組みと、3次元(高さ、幅、奥行き)の認識について見てみましょう。
色覚
健常者には、色覚をつかさどる3種類の錐体があります。それぞれの錐体は、わずかに異なる波長の光に対して最大の感度を持っています。図 5.14 に示す色覚の三色説によると、スペクトルのすべての色は、赤、緑、青の組み合わせで生成されます。3種類の錐体は、それぞれ1つの色を受容しています。
色覚異常の体験談
数年前、私は人前に出るための服を着て、7歳の娘が座っているキッチンに入っていきました。娘は私を見上げて、最も厳しい声で「それは着ちゃだめ」と言いました。私が「どうして?」と尋ねると、娘は私の服の色が合っていないことを教えてくれました。彼女は私がシャツやパンツ、ネクタイの色を揃えるのが下手だとよく言っていましたが、今回は特に不安がっているようでした。シングルファーザーの私は、他に頼める人もいないので、近くのコンビニエンスストアに車で行き、店員さんに服の色が合っているかどうかを尋ねました。すると店員さんは、私のズボンは鮮やかな緑色、シャツは赤みがかったオレンジ色、ネクタイは茶色だと言うのです。彼女は私を見て、「合うわけないでしょ」と言いました。それから数日後、私は同僚や友人に自分の服が合っているかどうかを尋ねるようになりました。同僚からは「個性的なスタイル」だと思われているだけだと言われて数日後、私は眼科医を予約して検査を受けました(図5.15)。その時、私は色覚異常であることがわかりました。ほとんどの緑、茶色、赤の区別がつきません。幸いなことに、知らず知らずのうちに服装が乱れてしまうこと以外は、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。
色覚異常の中には、まれなタイプもあります。グレースケール(黒と白の濃淡のみ)の視覚を持つ人は非常にまれで、そのような人は杆体しか持っていないため、視力が非常に低く、あまりよく見えません。X染色体の遺伝性異常で最も多いのは赤緑色覚異常です(Birch, 2012)。欧州白人男性の約8%、アジア人男性の約5%、アフリカ人男性の約4%、米国先住民男性、オーストラリア人男性、ポリネシア人男性の約2%未満が赤緑色覚異常を有しています(Birch, 2012)。一方、ヨーロッパ白人系の女性では、赤緑色覚異常は約0.4%に過ぎません(Birch, 2012)。