2.1 なぜ研究が重要なのか?
科学者は、自分たちを取り巻く世界がどのように機能しているかを説明し理解することに従事していますが、それは検証可能かつ反証可能な仮説を生み出すような理論を考え出すことによって実現されます。検証に耐えられる仮説は維持され、改良されますが、そうでないものは破棄されるか、修正されます。これにより、研究によって、科学者は「事実」と単なる「意見」を区別することができるのです。研究によって生み出された優れた情報は、公共政策や私たちの生活において賢明な決断を下す助けとなります。
2.2 研究のアプローチ
臨床研究または事例研究では、数人の個人を長期間にわたって研究します。この方法では、驚くほど深い情報を得ることができますが、これらの観察をより大きな集団に一般化する能力には問題があります。
自然観察では、自然な環境での行動を観察し、現実的な状況から有効な情報を収集することができます。しかし、自然観察は、あまりコントロールできず、しばしば実施にかなりの時間と費用を必要とします。研究者は、データを収集するためのツールが、信頼性(一貫性と再現性)と有効性(正確性)の両方を備えていることを確認するよう努めます。
アンケート調査は様々な方法で実施することができ、大量のデータを迅速に収集することが可能です。しかし、調査によって収集できる情報の深さは、臨床研究や事例研究と比較するとやや限定的です。
アーカイバル研究は、既存のデータセットを調査して研究課題を解決するものです。
縦断的研究は、人々が時間とともにどのように変化するかについてのデータを収集する必要がある研究者にとって、非常に有用です。横断的研究は、ある集団の複数のセグメントを一度に比較するものです。
2.3 調査結果の分析
相関は相関係数rで表され、-1~1の範囲を取ります。相関係数は、2つ以上の変数の間の関係の性質(正または負)と強さについて教えてくれます。しかし相関は、変数間の関係がどれだけ強いかにかかわらず、因果関係については何も教えてくれません。因果関係を証明する唯一の方法は、実験を行うことです。また、相関関係がないのに相関関係があると主張してしまう人も多くみられます。
研究者は、実験を行うことによって、因果に関する仮説を検証することができます。理想的には、実験参加者は、関心のある集団から無作為に選ばれます。次に、参加者をそれぞれのグループに無作為に割り当てます。時には、研究者と参加者の予想が結果に影響するのを防ぐために、グループに割り当てていることについて伏せておくこともあります。
理想的な実験計画では、実験群と対照群の違いは、 参加者が実験的操作にさらされるかどうかだけです。各群は実験の全段階を経ますが、各群が経験する独立変数のレベルは異なります――実験群は実験操作にさらされますが、対照群は実験操作にさらされないのです。次に、研究者は、各群の従属変数に生じた変化を測定します。両群からデータを集めたら、統計的に分析し、両群間に有意な差があるかどうかを判断します。
心理学者は、研究結果を査読付き雑誌論文として報告します。この形式で発表された研究は、他の何人かの心理学者によってチェックされます。そのチェックが、証拠によって裏付けられているアイデアとそうでないアイデアを分けるフィルターの役割を果たすわけです。追試は、発表された研究の正当性を保証する重要な役割を担っています。長い目で見れば、一貫して再現できる研究結果だけが、科学界でコンセンサスを得ることができるのです。
2.4 研究と倫理
研究における倫理は発展途上の分野であり、過去に認められた、あるいは容認されていた行為が、今日では非倫理的であると見なされることもあります。研究者は、人が参加する実験を行う場合、基本的な倫理的ガイドラインを遵守することが期待されています。人が参加する実験は、必ずIRBの承認を受けなければなりません。実験への参加は任意であり、参加者のインフォームド・コンセントが必要です。実験にディセプションがある場合は、研究終了時に各参加者に十分なデブリーフィングを行わなければなりません。
また、動物実験には高い倫理基準が要求されます。実験動物として動物を使用する研究者は、痛みや苦痛が最小限になるようにプロジェクトを設計する必要があります。動物実験にはIACUCの承認が必要であり、すべての動物施設は、動物が人道的に扱われていることを確認するために定期的な検査を受けています。