1.3 自然法則

01 天文学への誘い

科学者たちは何世紀にもわたって、無数の観察、仮説、実験からさまざまな科学法則scientific lawを獲得してきました。これらの科学法則は、ある意味では、自然が行うゲームの”ルール”でもあります。自然に関する驚くべき発見の一つは、本書で紹介するあらゆることの土台でもある、「宇宙のどこででも同じ法則が適用される」ということです。目に見えないほど遠くにある星の動きを決める法則も、野球の打者が打ったボールの弧を決める法則と同じなのです。

こうした普遍的な法則がなければ、天文学の進歩は望めません。宇宙の地域ごとに異なる法則があれば、他の”近所”で起きていることを解釈することはできないでしょう。しかし、自然の法則が一貫しているからこそ、遠くの対象物に行って、その場所の法則を学ばなくても、その対象物を理解することができるのです。それと同じように、もしある国のすべての地域でまったく異なる法律が存在していたら、商業活動を行うことはもちろん、その地域の人々の行動を理解することも非常に困難になるでしょう。しかし、一貫した法律があれば、ある国で学んだことや実践したことを、他の国にも適用することができます。

しかし、現在のモデルや法律が変化しないというわけではありません。新しい実験や観察によって、より洗練された新しいモデルが生まれることもあり、そのモデルには新しい現象とその挙動に関する法則が含まれます。アインシュタインが提唱した一般相対性理論は、約1世紀前にこのような変化を起こした素晴らしい例です。この一般相対性理論によって、天文学者がブラックホールblack holeと呼ぶ奇妙な新種の物体が予測され、やがて観測されるようになったのです。このような新しいモデルの妥当性は、自然をより注意深く、より正確に観察するという忍耐強いプロセスによってのみ証明されます。

モデルを記述する上での重要な問題の一つに、言語の限界があります。複雑な現象を日常的な言葉で表現しようとすると、言葉自体が適切でない場合があります。例えば、原子の構造を太陽系のミニチュアに例えているのを聞いたことがあるかもしれません。現代の原子モデルには、惑星の軌道を思わせる部分もありますが、根本的に異なる部分も多くあります。

このような問題があるからこそ、科学者は言葉ではなく数式でモデルを説明したがるのです。天文学の分野を紹介するために書かれた本書では、科学者が学んだことを主に言葉で説明しています。複雑な数学は避けていますが、この講座で興味を持っていただき、科学の道に進んでいただければ、ますます数学の正確な言葉が使われるようになるでしょう。

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