私たちの周りの世界、そして私たち自身を形作っているものは何でしょう?それはすべて、物質 (matter) からできています。空気も、大地も、流れる水も、きらめく星々も、そして私たち生命も。その物質を構成する基本的な要素が元素 (element) です。
生命を形作る元素の中でも、特に大切なものがいくつかあります。酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、硫黄(S)、そしてリン(P)。これらの元素が様々に組み合わさって、核酸やタンパク質、炭水化物、脂質といった、生命の源となる物質を作り上げています。生物学を深く理解するためには、これらの重要な構成要素、そしてそれらを形作る原子の不思議な構造について知ることが欠かせません。
生命の営みはすべて、物理学と化学の法則に従っています。ですから、生命システムがどのように機能しているのかを理解するためには、その根底にある物理学と化学の原理を理解することが大切なのです。たとえば、私たちの体内を流れる血液の動きは、流体の流れを支配する物理法則に従っています。食べたものが小さな分子に分解され、それがエネルギーに変換されてATP(アデノシン三リン酸)という形で蓄えられる過程は、化学法則に従う一連の化学反応なのです。水の性質や水素結合の形成は、生命プロセスを理解する上で鍵となりますし、酸や塩基の性質を知ることは、例えば消化の仕組みを理解するために重要です。
さあ、この章では、生命を支える物理と化学の基礎を一緒に探求し、生命の神秘への扉をそっと開けてみましょう。
コメント