23 原生生物

23 原生生物
図23.1 原生生物には、単細胞のParamecium aureliaや繊毛虫のTetrahymena thermophila(いずれも光学顕微鏡で撮影)から、多細胞で巨大な海藻が何百メートルにもわたって水中の「森」を形成しているものまで、さまざまなものがある。  (credit a: modification of work by Barfooz at the English Wikipedia.CC BY-SA 3.0, ; credit b: modification of work by Richard Robinson, Public Library of Science; credit c: modification of work by Kip Evans, NOAA; scale-bar data from Matt Russell)

章の概要

23.1 真核生物の起源

23.2 原生生物の特徴

23.3 原生生物のグループ

23.4 原生生物の生態系

人類は文字のない時代から巨視的な生物(肉眼で見える大きさの生物)に親しんでおり、ほとんどの文化圏では動物と陸上植物を区別し、巨視的な菌類も植物に含めていたと考えられています。そのため、数世紀前に顕微鏡が開発されるや、微生物の世界を扱うことが面白い課題となりました。

この数世紀の間にさまざまな命名法が使われましたが、陸上植物でも動物でも菌類でもない真核生物を原生生物と呼ぶのが最も一般的になってきました。

これは19世紀後半にエルンスト・ヘッケルErnst Haeckelによって初めて提案された名称です。この名称は多くの文脈で適用され、正式には原生生物界という界レベルの分類群を表すのに使われてきました。しかし、現代の分類学者(生物間の関係を研究する生物学者)の多くは、界や門といった正式なランク付けの考え方を避け始めています。その代わりに、最後の共通祖先の子孫をすべて含むと考えられる生物のグループ(単系統群)として、分類名をつけるようになってきています。過去20年間、分子遺伝学の分野では、一部の原生生物は他の原生生物よりも動物、植物、または菌類との関係が深いことが証明されています。したがって、動物、植物、菌類を含めない原生生物界は、共通祖先の子孫をすべては含まない、側系統群となります。このため、本来原生生物界に分類される系統については、現在も検討・議論が続けられています。原生生物という言葉は、この非常に多様な真核生物のグループを表す言葉として、今でも非公式に使われています。

ほとんどの原生生物は、土壌、淡水、汽水、海洋などに生息する単細胞の微小な生物です。また、動物の消化管や植物の維管束にも多く生息しています。また、他の原生生物、動物、植物の細胞内に侵入するものもいます。

すべての原生生物が微小なわけではありません。巨大な細胞を持つものもいます。例えば、粘菌の変形体(巨大アメーバ)や海産緑藻のCaulerpaは、単細胞で数メートルの大きさになることもあります。原生生物には、紅藻、緑藻、褐藻のように多細胞のものもあります。原生生物は、生物の成長様式が豊富な生物なのです。

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