22 原核生物:細菌とアーキア

22 原核生物:細菌とアーキア
The photo shows a hot spring with a vivid blue color in the middle and a golden color around the edge.
図 22.1 原核生物の中には、イエローストーン国立公園Yellowstone National Parkの温泉「モーニング・グローリー・プールMorning Glory pool」のような極限環境で生息できるものもある。この温泉の鮮やかな青色は、その高温の水に生息する原核生物によるものである。(credit: modification of work by Jon Sullivan)

章の概要

22.1 原核生物の多様性

22.2 原核生物の構造

22.3 原核生物の代謝

22.4 ヒトの細菌性疾患

22.5 有用な原核生物

近年、生物は核や細胞小器官の有無、細胞壁の有無、多細胞性などを基準に、動物、植物、菌類、原生生物という5つの生物界に分類されるようになりました。20世紀後半、カール・ウーズCarl Woeseらによる小サブユニットリボソームRNA(SSU rRNA)の配列比較という先駆的な研究により、地球上の生物をより根本的に分類する方法が確立されました。ウーズらは、細胞膜の構造とrRNAの構造の違いから、地球上のすべての生物はドメインと呼ばれる3つの系統に沿って進化してきたと提唱しました。細菌Bacteriaドメインは細菌界の全生物、古細菌Archaeaドメインはそれ以外の原核生物、真核生物Eukaryaドメインは動物界、植物界、菌界、原生生物界を含んだ全ての真核生物から構成されます。

3つのドメインのうち、細菌と古細菌の2つは原核生物です。原核生物は、35億年から38億年前に地球上に出現した最初の住人です。原核生物は、地球上のどこにでも存在する、いわばユビキタスな生物です。沸騰する温泉から南極の永久凍土まで、死海のような塩分環境から深海のような高圧環境まで、廃棄物処理場のような酸素のないところからチェルノブイリのような放射能に汚染されたところまで、適度な環境だけでなく極限状態でも生息しているのです。原核生物は人間の消化器官や皮膚に存在し、ある種の病気の原因となり、また多くの食品の調理に重要な役割を果たしてもいます。

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